INTERVIEW

インタビュー

ワールドコレクタブルフィギュア

原型師:加藤 蓮KATO REN
(STUDIO-Ren)

開発担当:玉井 康太KOTA TAMAI

チームで挑戦した、迫力満点の過去「最長」。

Q.今回のワールドコレクタブルフィギュアとしては初となる四皇を巨大なスケールで立体化されるということですが、本コンセプトに至った背景を教えてください。

玉井) 毎年、造形王においてはワーコレとしてこれまでに作ったことのないものを作る挑戦を続けてきました。昨年は「パース」で、ものすごくパースの効いた作品を作りました。そして今年のテーマは「最長」です。少なくともワーコレでは過去最長の縦連結の造形に挑もうと。

加藤) 今年は、まだ内容が決まっていない段階で「とにかく参加してほしい」とお声掛けいただき、ひとまず「わかりました」と即答しました(笑)。初期段階のイラストを初めて見た時は、二次元だからこそ成立しているようにも見えたのですが、三次元化したときに起こるズレを修正していけばいけるんじゃないかな、という印象でしたね。

Q.イラストを見る時にはどの部分にズレが起こりそうかに着目している、ということでしょうか。

加藤) というより、僕は平面の絵も常に立体として見えてしまうんです。空間にぼわっと浮かんでいる。なので、初めて3Dメガネが登場したときも自分に見えているものとのズレが気になって、あまり感動しなかったんです(笑)。

玉井) 今回の原型はデザインがとても複雑でしたので、原型を制作する過程で多くの検証が必要でした。そんな難題にご一緒いただけるのは、STUDIO-蓮さんしかいないと確信していました。昨年の作品はもちろん、普段からお仕事をご一緒させて頂いているので、実績も存じ上げていたこともあり、この企画は当初よりSTUDIO-蓮さんありきで進行していました。

Q.キャラクターの選定や配置についてはどのように決めていったのでしょうか。

玉井) 長さというアイデアが決まった後、その次に立体化させて頂くキャラクターを考えました。話し合う中で「ギア5のルフィを一番上にしたいよね」という意見が出てきて、そうなると四皇を扱うのがしっくりくる。縦に連結すれば新旧四皇という時代分けの表現もできそうだ、というような流れでチーム全体で考えていきました。四皇それぞれのキャラクターは大きさもバラバラなので、構成にも迫力が出ますし、シンプルに新旧の四皇全員を立体化するのは、ユーザーさまから見ても熱いに違いないと。

加藤) 今回は形状が複雑で、キャラクター数も多かったのでスタジオのメンバー総出で取り組みました。ただしスピード感も必要なので、リーダー以外のメンバーにはあえて全体の完成図は見せないなど情報を減らし、各自が取り組むパートに集中できるようにしています。非常に細かいレベルですぐに微調整できたり、思いついたアイデアをパッと足したりできたので、デジタル作画ならではの良さが特に活きた作品だと思います。

玉井) 前代未聞の取り組みにありえない技術の高さと、作業スピードの速さで仕上げていただきました。しかも最初の段階から、僕たちが思い描いていたあの『ONE PIECE』の姿で出してくれるので、キャラクターに関する調整はほとんどなかったです。ルフィの支点や、白ひげの足元部分にある土台を修正するなどバランスの観点では調整はあったのですが、それくらいで。
この「原作のキャラクターに似せることに特化している」という点は、STUDIO-蓮さんの大きな特徴だと思います。原作の雰囲気を徹底して重んじる点が、逆に個性になっているというか。

加藤) 「自分の色は入れない。キャラクターありき。」というのは僕が師匠から受け継いだ方針なので、そう言ってもらえると嬉しいです。例えばルフィであれば「あのルフィ」が見たいわけで、「僕の作ったルフィ」を見たいわけではない。若い頃、師匠に「まず似せろ。似せるのが一番難しい。君は似せようとしても似ないからアレンジしているんでしょう」と言われたことを強く憶えています。

Q.このサイズだと、パーツもかなりの量になっていそうですね。

加藤) そうですね。キャラだけでも100以上のパーツ量で、ベースと合わせると200弱くらいかな。

玉井) 体数が多いのはもちろん、ジオラマの部分も細かく分割していただいていることもあり、通常のデラックスフィギュアの10倍ほどのパーツ数になっています。通常はPVCという柔らかい素材を使用しますが、曲がってほしくない部分はABSという固い素材になっています。そうした素材分けも徹底すると、さらにパーツ数は増えてきますが、こうした挑戦が許されるのも造形王ならではだと思います。

玉井) 正面から見ても、もちろん素晴らしいのですが、横から見ると全員の目線が前を向いているので、立ち向かっていく感じや勢い、躍動感をいっそう感じていただけると思います。また、もともとキャラクターの色数も多いのですが、雷や雲のエフェクト、覇気の色、素材感の違いなども含めてさまざまな楽しみ方ができる作品になったと思います。

Q.「造形王」では今回から海外投票が加わりますが、それについてはどのように受け止めていますか?

加藤) 今回のは海外でのウケが良さそうなヴィネットというか、構成ですよね。

玉井) 僕もそう思います。日本よりも海外のほうがジオラマが人気でウケそうな気がしています。このサイズが海外からどのようなリアクションを得られるのか、楽しみですね。

Q.最後に、今回の「造形王」への参加を経て得たこと、今後の夢や挑戦してみたいことがあればお聞かせください。

加藤) 造形そのものの話ではないのですが、今回はスタジオの若手の成長を実感できる機会でもありました。昨年はベテランの方が担当していましたが、今回は25歳前後の女性チーム、5名ほどに任せました。彼女たちはこれまで何度かワーコレの担当を経験しており、若手のリーダーにお願いしたところ、「やってみます」と前向きな返事をもらって、「お!」と思ったんです。仕上がりも素晴らしいものになり「やるなぁ」と。

玉井) 造形やフィギュアに詳しい方には、この特殊な構図で盛り上がってほしいですし、さらに広い層の方にとっても、新旧四皇が揃うフィギュアはなかなかないので、キャラクターたちが並んでいるだけでも楽しんでいただけたら嬉しいですね。そういう意味で、幅広い層から支持される作品になったと思います。

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