INTERVIEW

インタビュー

HGシリーズ

原型師:もとおMOTOO

彩色師502

開発担当:野添 よう子YOKO NOZOE

期待の「造形王」初出場。HGシリーズの挑戦と夢。

Q.HGシリーズとしては、今回が「造形王」初出場となりますが、その経緯と、もとおさん・502さんとチームを組んだ決め手についてお聞かせください。

野添) これまで小さいサイズでリアルな頭身のフィギュアは、求められるクオリティが高く、なかなか実現できませんでした。しかし、既存のHGシリーズが高いクオリティを実現できたことで、今回満を持してカプセルトイのHGシリーズとして「造形王」に出場することになりました。

その上でもとおさんにお願いしたのは、リアルな造形に定評があり、クオリティで勝負できる方だと確信していたからです。以前、「すわらせ隊りある」というシリーズで『ONE PIECE』のリアルな造形をお願いした際も、その出来栄えが非常に素晴らしかったため、HGを出す時は必ずもとおさんにお願いしようと決めていました。
502さんについても、他の商品でその技術力の高さは存じ上げていて、塗りが綺麗だと感じていたのでぜひHGシリーズを塗ってもらいたいと思ってお声がけしました。

もとお) 僕自身、原型師としてのキャリアはまだ5年ほどと浅いのですが、「造形王」は中学生の頃から憧れて見続けてきた舞台です。正直、お声がけをいただいた時は実感が湧かず、今も「本当にいいのかな?」と半信半疑のままです。でも、周りが大海賊ばかりの中に飛び込んだルフィのように、ルーキーだからこそ自由に暴れられるんじゃないかと思っています。本当はプレッシャーしかありませんが、この滅多にない機会に、自分なりに挑戦させてもらおうと決意しました。

502) 私たちも彩色を始めてまだ4年ほどで、キャリアは浅いです。そんな中、これほど有名な大会に参加させていただけるのは本当にありがたいことだと感じています。「自分たちにできるだろうか?」という不安もありましたが、今は業界の大先輩方と同じ舞台に立てる楽しみの方が大きいです。

Q.今回のHGシリーズはルフィ、ゾロ、サンジ、そしてギア5ルフィという、まさに王道のラインナップです。このキャラクター選定の意図や、作品の具体的なこだわりについて教えていただけますか?

野添) 「造形王」では、原型師さんの意向を参考にラインナップを決めることが多いのですが、HGシリーズは今後も続けていく予定なので、序盤でメインキャラクターを出し過ぎてしまうと後々苦しくなってしまいます。ただ、第1弾はとても大事ですし……という葛藤の中で、もとおさんとは何度も議論を重ね、最終的には全員が納得できるこの4キャラクターに落ち着きました。ルフィだけのラインナップやエースサボのラインナップ、や「最悪の世代」のラインナップといった案もありましたが、HGシリーズの『ONE PIECE』の第一弾は、このメンバーでいきたいとなりました。

もとお) 「シリーズを続けていきたい」というお話をいただいていたので、最初の3体であるルフィ、ゾロ、サンジが非常に重要になるというプレッシャーはありました。また、これらのキャラクターは既に数え切れないほど多くの造形物が発売されているので、その中でいかに差別化できるかは本当に悩みました。でも、メインキャラクターを手掛けられるのは原型師としては最高に光栄なことなので、むしろ挑戦できることの嬉しさの方が大きかったです。

野添) 特にギア5ルフィは、バンダイとしてもぜひラインナップに加えたかったキャラクターです。ギア5ルフィのポーズを決めるのが最も難しい作業でした。

もとお) ギア5の状態は、基本的に地面に足がついていない場面がほとんどですが、HGシリーズにはフィギュアとして自立させるという制約があります。資料集めの段階から苦労し、過去のフィギュアなども参考にしつつ、さまざまな資料を組み合わせて形にしていきました。最終的に完成したものを見て「これで良かった」と、自分でも納得できる仕上がりになったと思っています。

野添) もとおさんには無理を言って、1度あげていただいた原型のポーズをイチから作り直していただきました。

Q.HGシリーズはサイズが小さい分、造形にも特別な工夫が必要だったのではないでしょうか。

もとお) 今回一番苦労した点はそこですね。デジタル造形なので画面上ではいくらでも作り込めるんですが、出力すると細かく作ったシワが情報過多になってしまったり、逆に弱すぎると見えなかったり。データ上では少し違和感があるぐらい強く表現しないと、出力した時にちょうどよくならない。その齟齬を埋めるために何度も出力しては確認し、データに反映するという作業を繰り返しました。普段作らないサイズを手がけたことで、大きいサイズの造形にもフィードバックできるものを得られたと感じています。

502) 野添さんと相談させていただき、一体につき2か所ずつブラシ塗装の箇所を作っていただけたので、当初の想定より豪華な仕様になっています。ハイとローの色選びを慎重にし、陰影の強さや並べたときのバランスを調整しました。

野添) このサイズだと、大きいフィギュアのように陰影が影で表現されにくい難しさがあります。ただ、小さいけれども造型で最大限表現いただき、それを彩色でさらに良いものに仕上げていただけると確信しています。

Q.「造形王」には今回から海外投票が加わりますが、それについてはどのように受け止めていますか?

野添) ガシャポンも海外に進出しておりますが、これからもっと広がっていくはずです。このサイズでこのクオリティというのは見ただけで驚いてもらえるはずなので、海外での反響はすごく楽しみですね。

もとお) 海外の方々には日本の「ガシャポン」という文化の、特にこのサイズ感に対する精密さに驚いてもらえたら嬉しいです。

502) ガシャポンは私たちにとって小さな頃から慣れ親しんだ大好きな日本の文化なので、海外の方からも興味を持っていただけたら嬉しいです。

Q.最後に、今回の「造形王」への参加を経て、今後の夢や挑戦してみたいことがあればお聞かせください。

もとお) やはり、大きなサイズでのワンピースフィギュア、それも"かっこいい"を突き詰めたものも今後作っていきたいです。個人的には、かっこいいおじさんキャラクターが好きなので、伝説の海賊であるロジャー海賊団のクルーやロックスといったキャラクターの造形は楽しそうだなと思います。

502) これまで小さいサイズのフィギュアを塗らせていただく機会はあまり多くなかったので、HGシリーズのような小さくてもパワフルで迫力のあるフィギュアの彩色にどんどん挑戦していきたいです。

野添) ガシャポンにはカプセルに入るという制約の中で、リアルもデフォルメも多種多様な作品があります。この「造形王」を通して、色々なお客様にガシャポンの魅力を知っていただけたらいいなと。引き続き、ガシャポンフィギュアならではの企画を模索して世に出していきたいと思っています。

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